2026年 労働基準法改正案について

2026年の労働基準法改正では、労働時間や休日、多様な働き方への対応が主な焦点となります。特に、連続勤務の上限規制、法定休日の明確化、勤務間インターバル制度の義務化などが議論されており、企業は就業規則の見直しや勤怠管理システムの導入など、早めの準備が求められます。

1. 改正の主要ポイント

2026年に施行が見込まれる労働基準法改正案には、主に以下の7つのポイントがあります。

①労働時間と休息の厳格化: 連続勤務の上限規制(14日以上連勤禁止)や勤務間インターバル制度の義務化が検討されています。

②休日・休暇ルールの明確化: 法定休日の明確な特定義務が導入される可能性があります。

③多様な働き方への対応: 副業・兼業に関する規定の整備や、フレックスタイム制の見直しが議論されています。

④新たな権利「つながらない権利」の確立: 勤務時間外の連絡を拒否できる権利に関するガイドライン策定が進められています。

⑤特例措置・適用除外の見直し: 週44時間特例の廃止など、一部の特例措置が見直される可能性があります。

⑥育児・介護と仕事の両立支援の強化: 育児・介護休業法の改正も関連して施行されます。

⑦有給休暇の賃金算定方式の統一: 有給休暇取得時の賃金算定が「通常賃金方式」を原則とする方向で検討されています。

2. 企業への影響と対応策

今回の法改正は、企業経営に大きな影響を与える可能性があります。

人件費へのインパクト: 労働時間の厳格化により、残業代や追加雇用による人件費増加が考えられます。

労務管理の実務への影響: 勤怠管理システムの見直しや就業規則の変更が必要になります。

組織運営・業務プロセスへの影響: シフト制の導入や業務プロセスの見直しが求められる場合があります。

3. 今から始めるべき対応

法改正に備え、企業は以下の対応を検討することが推奨されます。

就業規則の見直し: 連続勤務の上限や法定休日の特定、勤務間インターバル制度に関する規定を整備します。

勤怠管理システムの導入・改修: 連勤チェック機能や勤務間インターバルを管理できるシステムの導入を検討します。

副業・兼業規定の整備: 労働時間の通算ルール見直しに対応した規定を設けます。

管理職への業務集中対策: 業務の分散や応援要員の確保を検討します。

4. 法改正の背景

約40年ぶりとなる労働基準法の抜本的な見直しは、現代の多様な働き方への対応と労働者の健康確保が主な背景にあります。

長時間労働の是正が重視されています。

労働者の心身の保護と労働力の流動化を促進する狙いがあります。

5. 施行時期について

現時点では、2026年の通常国会に改正法案が提出され、早ければ2027年4月からの施行が見込まれています。ただし、これらは検討段階であり、今後変更される可能性もあります。

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