中小企業退職金共済について
中小企業退職金共済(中退共)について説明すると、
現場ではこんな声をよく聞きます。
よく聞く話①
「変な感じで辞めた社員にも、退職金が直接振り込まれるから嫌なんだよね」
よく聞く話②
「税理士に相談したら、
どんな辞め方でも本人に直接いくから、中退共はおすすめしないって言われた」
確かに、気持ちは分からなくはありません。
ただ、私はこの考え方には強い違和感を持っています。
問題社員は、全体の何人ですか?
例えば、従業員20人の会社があったとします。
その中で、
「正直、辞め方も含めて問題があったな」と感じる社員は、
何人いるでしょうか。
多くの会社では、せいぜい1人か2人です。
残りの18人、19人は、
日々まじめに働き、会社を支えてきた人たちです。
そのごく一部の例外を理由に、
大多数の従業員のための退職金制度を用意しない。
それは、本当に従業員のことを考えた判断でしょうか。
中退共は「感情」を反映させる制度ではない
中退共は、
円満退職かどうか
社長のお気に入りかどうか
そういった感情や評価を反映させる制度ではありません。
働いた期間に応じて、
最低限の退職金を制度として淡々と確保する仕組みです。
退職時に会社を通さず、
直接本人に支給されるのも、
退職金トラブルや未払いを防ぐため。
むしろ、
会社と従業員の双方を守るための仕組みとも言えます。
「全部を中退共」にしなくていい
よく誤解されますが、
退職金制度は中退共一本にする必要はありません。
現実的なのは、
最低限の退職金 → 中退共
上乗せ部分 → 会社独自の制度(保険・規程など)
この組み合わせです。
これなら、
公平性は制度で担保できる
評価したい社員には、別の形で応えることもできる
「全部同じ」か「全部会社裁量」か、
どちらかに振り切る必要はありません。
退職金制度は、経営者の姿勢が表れる
ここで、私が一番伝えたいことです。
退職金制度は、
「気に入った社員に報いるためのもの」ではありません。
働いてくれた人全体に対して、
経営者がどこまで責任を持つ覚悟があるか。
その姿勢が、そのまま表れる制度です。
中退共を使う・使わないは自由です。
ただ、その理由が
「問題のある社員にも支給されるから」だけだとしたら、
それは制度の欠点ではありません。
経営者としてのスタンスの問題です。
退職金制度は、
「辞める瞬間」の話ではなく、
働いている“今”の安心感をつくる制度。
中退共は、その土台として、
十分に意味のある制度だと私は考えています。
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